山陰の蒸機 ファインスケール・コレクション by 雲出づる国さん

第三弾は、雲出づる国さんです♪

氏は国鉄・私鉄を問わず、山陰地方の鉄道のスペシャリストで、当区の山陰線部分についてのあらゆるアドバイスを頂戴しています。今回はその中から特に蒸気機関車をテーマに、発表して頂きました。


本人コメント:
雲出づる国① C56 111[木次](乗工社キット製作)

蒸気機関車は実に探求し甲斐があり、故郷・山陰の蒸機にずっとハマリっぱなしです。そんな私が一番好きな蒸機は、木次線のC56(最大12両配置)です。
とりわけ快速「ちどり」牽引専用機だった111は別格で、模型でもレボリューション製ちどりデフの磨き出しとモリヤスタジオのヘッドマークがチャームポイントです。
この製品はテンダーモーター・エンジンドライブ方式なので、焚口へドライブシャフトを貫通させますが、それでもキャブ内にはバックプレートがあり、ロストパーツのブレーキ弁も付くのに気を良くして、独自に運転席を取り付けてみると、思った以上に効果的でした。
また、木次区ならではのキャブ側窓のニス仕上げやステップがないテンダースロープ、増炭囲いも再現しています。
とても手応えのあるキットで、これが今も販売されていたら嬉しいのにと思わせてくれる、大のお気に入りです。
しかも、140R(ファイントラック・ミニカーブレール)だって走れます!
実は、講談社の「鉄道模型・少年時代」を木次線のレイアウトにするつもりなので、C56にはそこで用いる140Rをクリアして欲しいのです。
因みに、中村精密のC56やマイクロエースのC56モドキも140R走行可能です。



雲出づる国② C54 6[浜田](ワールド工芸C51ベース)

山陰線のC54(福知山区→浜田区)は、私が二番目に好きな蒸機です。
戦前の大阪〜大社間・お宮参り急行や戦後の大阪夜行などを牽引し、過渡期的で微妙なバランスのデザインが堪らないのです。
ところが、C54はファインスケールのNゲージ製品がなく、ワールド工芸のC51キットにマイクロエース製C57のフロントデッキと同じく部品取り用C53のキャブを組み合わせて作りました。
C54の特徴は砂箱と蒸気ドームが接近しており、コンプレッサーと給水ポンプの位置もC51と違うため、ランボードを切継して位置を変えました。
デフはレボリューションのC61用を切り詰めて取り付け、煙突はワールド工芸の8100用を使いました。ナンバーはKINGS製です。
C54らしくできたと思うので、満足しています。
シブいモノクロ風の画像にしてみました。



雲出づる国③ C57 5[浜田](TOMIX製品ベース)

C57は山陰に大量配備されていた訳ではありませんが、歴代で一次型から四次型まで揃っていたため、それらを網羅しようとすると、全形式に占める所有数のバランスとしては、どうしても多くなってしまいます。
現役の「やまぐち号」で馴染みもあるせいか、やっぱり好きなんでしょうね。
話題作となったTOMIXのC57 135を標準機へ改造する際、最もネックになるのは特殊なテンダーです。
密閉キャブ用に後退角が付いた前妻、北海道仕様の埋め込みライト、二次・三次型と同じ板台枠台車では、本州仕様にできません。
そこで、マイクロエース製C57のテンダーに交換しました。
更に、重油タンク搭載の痕跡でドームの後側が無惨にえぐられているところまで忠実に再現されていることも頭の痛い問題です。
私のやり方は、やはりマイクロエース製C57のドーム後端を移植して成型し直しました。もちろん解放キャブに加工しています。
あえて末期の5号機にするべく、ナンバーはワールド工芸の形式なしを使い、レボリューションの標準デフにプラ板で点検蓋の表現を追加しました。
これなら、仮にTOMIXから一次型・標準機が発売されても悔いなしです。



雲出づる国④ D50 222[米子](中村精密)

昭和25年から昭和34年まで在籍していた米子区・鳥取区のD50は、D51に置き換えられてD60になることなく廃車となり、当時の写真も目にしないため、私にとっては幻とも言える機関車です。その存在が気になって仕方ないので、戦前に撮影された鷹取区時代の222を手掛りとして、レボリューションへの特注ナンバーに加えて再現することにしました。
しかし、マイクロエースのD50・D60は同社製蒸機の中で最も醜く、他の製品では長所である、全長がスケール通りにできていることすら守られていません。
残る選択肢は絶版の中村精密のみで、これは古い製品ながら低く構えた見事なプロポーションです。真鍮板で自作した短いドローバーに交換して機炭間を狭くしましたから、ファインスケールと言っても良いでしょう(実測1/147)。
テンダーモーター・テンダードライブの走りも快調で、バックプレートが泣かせます。
ファインスケールならバックプレートがあることには、こだわりたいのです。
省略されているフロントのディテールは、解放テコ、エアホース、ステップ、つかみ棒、標識灯、ヘッドライトレンズを追加し、先輪もスポーク車輪に交換しました。
どこの完成品でもキャブの側窓だけでなく、前方扉や丸窓、後妻にも窓セルを貼り付ければ、グッと雰囲気が出ます。これを眺めては白砂青松の山陰本線で働くD50の姿に想いを馳せていますが、津和野区のD60も何とかしたいところです。


皆さんからのご感想やツッコミ、ご質問をぜひお寄せください。
この他にも、“山陰の蒸機 ファインスケール・コレクション”として各タイプを収集・製作しており、当方の掲示
http://8526.teacup.com/sanintrain/bbs でリストを公開しています。
もしリクエストがあれば、別板にて紹介させていただきます。